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イベント盛りだくさんの12月!ホリデーシーズンから学ぶカナダの多文化多様性教育

2024年12月26日 | コラム

こんにちは!All for Kidsのはるかです。皆さん、年末はいかがお過ごしでしょうか。今日は、多文化が共生するカナダでこの時期祝われるイベントと、それに学ぶカナダの多文化多様性教育について書いていきます。

カナダという国

カナダは、以前この記事でも書いたように、ここに何千年と住み続けている先住民の方の土地を植民地化して作られた国です。19世紀後半にイギリスとフランスがカナダを建国してから、政府は多くの移民を受け入れ続けています。カナダは「移民国家」や「多様な国」と聞くことも多いかと思います。現在のカナダの人口について、少し詳しく見ていきましょう。

カナダの人種構成

カナダはさまざまな人種や文化が一緒に暮らす多文化国家で、その人口構成もどんどん変わっています。2021年の国勢調査では、カナダの人口は約3,700万人。そのうち約23%(830万人以上)が移民で、これは建国以来の最多記録だそうです。

人種別に見ると、

  • 白人 約70%
  • 南アジア系 7.1%
  • 東アジア系 4.7%
  • 先住民 6.1%
  • 黒人 4.3%

さらに、カナダ統計局の予測では、2041年には移民とその子どもが人口の約半分(52.4%)になると言われており、4人に1人がアジアやアフリカ生まれ、もしくはそのルーツを持った人になる可能性もあるそう。

カナダの宗教構成

2021年のカナダ統計局のデータによると、カナダの宗教構成は以下の通り。

  • キリスト教 53.3%(うちカトリック29.9%、プロテスタントとその他23.4%)
  • イスラム教 4.9%
  • 無宗教 34.6%
  • その他 7.2%

近年では無宗教の割合が増えていたり、親が宗教を信じていてそのしきたりは伝わっていても、子ども達の世代で宗教やその考え方を厳格に守る人の割合は減ってきているようです。それでも、これだけ様々な人種や宗教が共存するカナダでは、必然的に自分とは馴染みのない伝統や祝日について聞くことが増えてきますね。

年末年始はとにかくイベントがたくさん!

私は日本出身なので、年末年始といえばお正月ですが、この時期は世界中で様々な祝日があるようです。カナダでよく耳にするものをいくつか紹介しますね。

Christmas (クリスマス)

イエス・キリストの誕生日。おそらくカナダで最も一般的な祝日です。カナダのクリスマスは、日本のお正月のような感じです。朝起きたらクリスマスツリー下にあるプレゼントを開けて、1日中家族とゲームをしたり食べたり飲んだりして、夕飯にはターキーディナーを食べます。この日は家族や親戚と家で過ごす日なので、多くのお店はお休みになります。クリスチャンの人は教会に行く人もいますが、クリスマスをお祝いする全員がクリスチャンではないし、クリスチャン全員が教会に行くわけでもなく、私のように、イベントとして楽しむ人もたくさんいます。

↓このように、家の内外をデコレーションする人も多いですよ!

Kwanzaa (クワンザ)

アフリカ系アメリカ人の文化と遺産を祝う7日間の行事。7つの原則(団結、自己決定、共同作業など)に基づき、ろうそくを灯し、家族やコミュニティでの活動を通じて絆を深めます。

Hanukkah (ハヌカ)

ユダヤ教の祭りで「光の祭り」とも呼ばれます。エルサレム神殿の奇跡を記念し、メノーラー(燭台)にろうそくを灯し、特別な食事やゲームを楽しみます。

Diwali (ディワリ)

光の祭典。善が悪に勝利することをお祝いするイベントです。家を清め、灯明を灯し、家族での祝宴やプレゼント交換を行います。インドや南アジアの多くの地域で広く祝われているようです。

Lunar New Year (旧正月)

アジア各国で祝われる伝統的な新年。家族での食事や祖先への祈り、赤い封筒にお金を入れて贈る「紅包」などの習慣があります。中国、韓国、ベトナムなどでお祝いされます。

こういった祝日は、クリスマスやハヌカなど宗教的なお祝いごともあれば、アジアの旧正月やクワンザのように、宗教とは無関係の場合もあります。

多種多様な国、カナダ。信仰が異なる人々は、いったいどう共存しているの?

カナダには、「自分と違うことを信じている人」が周りにたくさんいます。また、「信じていることが違って当たり前」ということも学びます。カナダの権利と自由憲章により、信教の自由が保障されており、それについても子ども達は小さな頃から学びます。人に危害を加えない限りは、「何を信じようがその人の自由」なのです。

保育園は宗教を広めたり宗教に対する個人的な意見を交わす場として相応しくはありませんが、クラスメイトや地域に住む方について学ぶことはもちろん大切です。私が今まで働いてきた園では、宗教的なイベントの場合は、その意味合いよりも、家族に伝わる文化や伝統に焦点を当ててきました。宗教や信仰が違っても、家族や親戚と集まりゲームや特別な食事をするというのは世界共通のようなので、ご家族や子ども達にはそこで代々伝わる遊びや食事についてシェアしてもらいました。

それでも中には他の宗教的行事について子どもに一切学んでほしくないという家庭もあり、そういう場合はその日は子どもを登園させないという選択をする保護者もいました。そこは各家庭にお任せしていますが、私の経験上9割以上の家庭は自分の子どもが他の文化や伝統を学ぶことを歓迎していました。

実際に過去に園で行ったこと

以前働いていた園では12月に「Family Gathering(家族の集まり)」というイベントを行いました。この時期に家庭で行うゲームや料理など何か一つを持ち寄ってもらい、親御さんも教室に招き入れました。母国語の歌を披露する家族もいれば、伝統料理を作ってきた家族も。ちなみに私は福笑いとだるま落としを用意しましたが、様々な伝統や文化が楽しめた1日でした。

また、12月以外でも伝統的なお祝い事があるときは、行事について学べる子ども用絵本もたくさんあるので、それを家庭から持ってきて他のクラスメイトとシェアする子どもたちもいます。

知識を得ることの大切さ

異なる文化や価値観を学ぶことで、子ども達は、「世界には様々な考え方や文化、習慣がある」ことを小さい頃から理解します。この知識は、他者を尊重し偏見や差別のない社会を育むための基盤となります。また、違いを知ることで想像力や共感力も育ちます。文化をシェアする側にとっても、自己理解が深まり、アイデンティティや自信の形成に役立ちます。

「違う」を当たり前に

日本というほぼ単一民族社会で育ってきた私にとって、カナダに来る前は、信仰や文化が違う人たちが共生する様子をイメージするのはとても難しいと感じていました。日本の学校教育では、制服や髪型、時には考え方を統一したり、決められた一つの答えにたどり着くことを求められるのが基本なので、「違う」ということに慣れていませんでした。文化や宗教、もちろん考え方や意見も違って当然なのに、多数派で社会が求めるかたちと違うとなぜか白い目で見られたり、考え方を直されることも。もしも小さい頃から違うことが普通化されていたら、違う上でどうお互いを思いやり生きていけるか、ということに焦点を当てられていたと思います。

カナダの多文化・多様性教育は、それをテーマとして机上で学ぶのではなく、「違いを知り尊重する」という社会の価値観が子ども達の毎日の生活に組み込まれる形で行われていると感じます。そうした環境で育った子ども達は、「違い」をネガティブなことではなく、豊かさと捉え、柔軟で共感力のある大人に育っていくのではないかと、この国で育つ子ども達を見ていて思うのです。

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