こんにちは、All for Kidsのちひろです。
ここ1年間カナダのオンタリオ州にあるQueen’s Universityにて、カナダの移民法を勉強をしていたこともあり、All for Kidsでの活動を少しお休みさせていただいておりました。今回が自分にとっての初めてのブログ記事になるので、カナダで保育士になった経緯と永住権取得までの道のりをお話させていただければと思います。
Contents
「保育士になりたい!」幼少期からの夢
保育園でお世話になった先生が大好きだったこと、5歳年下の妹や従兄弟の面倒を見ることが好きだったことから、幼少期から漠然と「保育士になりたい」という夢がありました。
高校生のときに「卒業後は、保育の専門学校に行こう」と考えていたのですが、「今後の選択肢を広げるために、まずは4年制大学を出た方がいい」という両親からの助言で、まずは教育学科のある大学に進学することを決めました。
2014年には、上智大学総合人間科学部教育学科に晴れて入学。サークル活動では、AIESEC(アイセック)というNGO学生団体に所属し、都内にある様々な教育機関(主に保育園や中学校・高校)にお邪魔させていただきました。そこでの活動を通して日本の保育園での英語教育や多様性教育に興味を持ち始めたときに、たまたまFacebookで「カナダの保育園を視察してみませんか?」という広告を発見。「これは行くしかない!」と運営している団体に連絡を取り、カナダの幼児教育視察に参加することに決めました。
上智大学は英語ができる学生が多いことで有名ですが、私は海外に出たことも少なく、英語も大の苦手科目。大学構内の留学生と出会う機会があっても、苦笑いをし、その場をそそくさと逃げ出すようなタイプだったのです。初めての一人海外、苦手な英語、果たして2週間も生き延びれるのでしょうか……。
カナダで2週間の幼児教育視察
2015年の夏休みの2週間を使い、カナダのブリティッシュコロンビア州にあるノースバンクーバーの保育園で視察をさせてもらいました。英語が分からなくても、遊びを通して現地の子どもたちと仲良くなれたことを鮮明に覚えています。過去の自分のブログを振り返ってみると「折り紙と泥だんご作りをお気に召してくれたようで毎日のようにやっている。若干、泥だんご作り機になってる」と書かれていました。
また、そこで出会ったホストファミリーの方たちもすごく温かく、私の拙い英語にも嫌な顔せず、真摯に対応してくレました。たったの2週間程度でしたが、カナダの人たちの温かさに触れて、またこの場所に戻ってきたい、英語をもっと勉強してカナダで保育士の資格を取りたい、と考えるようになったのです。
カナダで1年間の留学、Harukaとの出会い
「やっぱりカナダでもっと勉強したい!」翌年2016年4月からは1年間大学を休学し、カナダ留学することを決めました。半年はバンクーバーの語学学校で英語を学び、残りの半年はチリワックという場所でコミュニティーカレッジに通い、保育士アシスタントの資格を取得しました。チリワックは、バンクーバーから車で1時間半離れた場所にあり、自然豊かで、アウトドアや自然が好きな人にはうってつけの場所だと思います。また日本人の数が圧倒的に少ないので、英語を伸ばすには最適でした。
All for KidsのHarukaに出会ったのも、ちょうどそのときです。彼女は私が通っていたコミュニティーカレッジの卒業生で、すでにカナダで保育士として働いていました。「19歳でカナダに渡り、学校を卒業して保育士として働いているなんてすごいなあ。私も彼女みたいになりたい!」と思ったことを覚えています。
「就活しないのは甘え」、周囲からの厳しい意見も
1年間の留学を終え、2017年3月に日本に帰国してからも「大学を卒業したらカナダに戻って保育士になろう」と決めていました。そのためにも、まずは学費と幼児教育に関する経験を少しでも積むために、ベビーシッターや学童保育、インターナショナルプリスクールでのアルバイトを始めました。
そんな中、大学の友人たちは就職活動まっしぐら。「カナダに留学しよう」と決めたものの、「就活しないなんて甘えじゃない?」と周囲から大反対され、他人の目を気にしてしまう性格の私は、自分が選ぼうとしている道が正解なのか不安でたまりませんでした。
しかし、その一連の流れで学んだのは「自分の人生に責任を取れるのは自分だけ」ということ。今までは社会や両親が引いてくれたレールの上を歩いていればよかったけれど、これからは自分の知らない土地で、自分でレールを敷いて進んでいかなければいけません。「新卒切符を捨てて留学する」という選択肢を取ることは、未知でとっても怖いことでした。でもその怖さと向き合い、一歩ずつ自分が決めた道を進んだことは、とても大事だったと今では思います。
カナダのカレッジに進学、念願のカナダで保育士に
2019年3月に大学を卒業し、同年9月にカナダのケロウナにあるオカナガンカレッジのECEプログラム(Early Childhood Education Diploma)に入学。このプログラムを修了すると、ECE資格・Infant and Toddler資格・Special Needs資格の3つの資格を取得することができます。
クラスの人数は20〜25人程度(内留学生は4人のみ)で、同じクラスメイトと2年間一緒に学びます。課題の量も多いため、帰宅したら課題、土日も課題の毎日。このECEプログラムは、現地の学生ですらドロップアウトしていくようなハードなプログラムで、学校内のカウンセリングを受けたり、涙した日々もありました。しかし、無事にプログラムを修了し、保育に携わる人間としてさまざまな知識や経験を積めたように思います。

カレッジ卒業後は、NPO団体が運営する園に就職。教育実習でお世話になったこと、そして「子どもは遊びの中で学んでいく」というプレイベースの園で、自分の保育理念と合致していたことが就職の決め手でした。最初の1年は乳幼児のクラス、2年目は3〜5歳のクラスを受け持ち、子どもたち、保護者の方、周りの先生たちから、たくさんのことを教わりました。

ブリティッシュコロンビア州ノミネーションプログラム(BCPNP)を使い、永住権取得へ
2021年当時は何の制限もなしに、2年間の公立カレッジを終えると3年間のポストグラデュエーション就労ビザ(PGWP)が降りる時期だったため、PGWPで就労を開始。ブリティッシュコロンビア州ノミネーションプログラムのInternational Graduateというストリームの申請条件をすでに満たしていたため、カレッジを卒業してまもなく永住権申請をしました(現在このストリームは終了しています)。
州ノミネーションプログラムを使っての永住権申請のプロセスは、主に州政府とカナダ連邦政府の二手に分かれており、永住権申請が通るまでに1年半くらいかかりました。待っている間は申請が下りるかどうか心許なかったのですが、2023年1月に永住権を取得できたときは、長年の目標が達成できて嬉しかったのを覚えています。
まとめ
元々は、カナダ永住権を取得したいというよりも「カナダで保育士になりたい」という思いが強かった私ですが、そのきっかけをくれたのは2週間のカナダでの幼児教育視察でした。日本とは違った多種多様なバックグラウンドを持つ子ども達がお互いを尊重し合い学んでいく姿は、移民が増えつつある今の日本の幼児教育現場にとって、貴重なヒントになるのではないでしょうか。
All for Kidsでは、団体での幼児教育現場の視察だけでなく、個人でのフィールド視察も行っております。まずはお気軽にお問い合わせページよりご相談ください!