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カナダ永住者が様々な園での勤務を経てカナダで起業するまで

2024年10月14日 | コラム

こんにちは!All for Kidsのはるかです。

前回の記事海外未経験者がカナダで保育士就職→永住権を取得するまででは、高校を卒業して海外未経験だった私が保育留学、と3種類のワークパーミットを経て永住権を取得するまでを書きました。今回はその続編、カナダ永住権取得者が様々な園での勤務を経てカナダで起業するまでについて書いていきます。

私は永住権取得前、ポストグラデュエートワークパーミット(通称PGWPもしくはポスグラ)、ワーキングホリデービザ、そしてLMIAを使った就労ビザを取得しました。学校を卒業してから現在に至るまで、臨時職員としての短期での勤務も合わせると働いた園は8園ほどになります。

それぞれの園に特徴や良さがありましたし、全く違う種類の園や幅広い家族の層を見ることで、自分にあった幼児教育のスタイルを見つけ、ものごとを多角的に見られるようになりました。

All for Kids起業に至るまでに見てきた園を、以下ひとつひとつ詳しく書いていきます。

低所得層が多い園とクリスチャンの園 inチリワック

学校を卒業したての頃は、ビザの関係でカナダ出入国を繰り返さなければならなかったため、臨時職員として働きました。クリスチャンの園では、お祈りやクリスチャンに関する作り物をすることが多く、また、アルファベットや曜日も毎日本格的に習うアカデミック重視の園でした。私はクリスチャンではないので、本採用や長期雇用にはなりませんでした。

低所得層が多いデイケアでは、親が亡くなっていなかったり里親に育てられている子どもなど、小さいながらに大変な環境に置かれている子が多かったです。前述のクリスチャンの園とは違い、子どもがお腹いっぱいにごはんが食べられること、誰かに愛されて居場所があることに重点が置かれていました。喧嘩や暴力、脱走未遂も日常茶飯事で、体力はたくさんいりましたが(そして人生で一番しんどい風邪菌をもらったのもここ…)、オーナーと当時勤務していた方が本当に愛情深く素敵な方ばかりで、たくさんのことを学びました。

子どもの性格や言動が周りの環境に大きく左右されることを実感したのもこの園です。

「どんなに難しい子どもでも、その子のせいではない理由があって、その子もまた同じように愛されたいんだ」という思いは、今も常に心に留めています。

ビジネスビルにあるフランチャイズの園 inラングレー

就労ビザのスポンサーであり永住権申請のときも働いていた、バンクーバー郊外ラングレーにある園。近隣都市に計4ヶ所ほど展開しているフランチャイズの園でした。0〜5歳児が年齢別のクラスに分けられていて、教室は園内に計7クラスという、やや規模の大きい園です。高速道路の近く+ビジネスビル内にあったので、ご家庭の層はとにかく仕事で忙しいご家庭が多かったです。1時間程かけてバンクーバーに通勤する親御さんも多く、子ども達の通園時間が9-10時間とカナダ基準では長い子どもが多かったです。

この園ではアートやヨガの先生を外部から呼んでいて、アカデミックも大変重視していました。レッジョエミリアアプローチを取り込んだ園でもあり、プロセスアートと呼ばれる『作品よりも過程を大切にするアート』や、ルースパーツと呼ばれるリサイクル用品やビー玉、石を使って正解のないクリエイティブな遊びをする取り組みもしていました。永住権を取得してから引越したのでここの園は退職しましたが、この園のおかげでレッジョエミリアを学びたいと思うことができ、次の園を決める基準にもなりました。

レッジョエミリアを取り入れた小規模附属園 inエドモントン

州を跨いだ引越しのため保育士免許を書き換えなければならなかったのですが、書き換え中にいくつかの園でボランティアをしました。ひとつの園に決めてしまうと、他の園の方と関わったり、園の取り組みを知る機会があまり無いので、今のうちにたくさん見ておこう!という思いからです。そんなこんなでボランティアをしていた園のひとつに空きがあり、書き換えが完了するタイミングでフルタイムで雇ってもらえることになりました。大学附属のNPO法人で、レッジョエミリアアプローチを取り入れている園だったので、自分にはぴったり。その園は職員の人材育成にも力を入れており、州全体から幼児教育者や教授が集まるカンファレンスや園内外研修に参加する機会が多くありました。ご家族や地域を巻き込んだ取り組みや、障がいがある子どももない子どももみんなが同じ環境で学ぶインクルーシブな保育を本格的に学んだのもこの園のおかげです。

もし、カナダで保育士(ECE)を目指している方がいたら、ぜひボランティアとして色んな園を見て周り、自分に合った理念がある園、そして研修など色々な機会を与えてもらえる園を見つけることをオススメします。ちなみにボランティアした際に出会った方とは今も交流をしていて、こういった繋がりを大切にしたいという思いも、このAll for Kidsができた大きな理由でもあります。

そんなエドモントンの園で勤務し始めてから2年が経った頃、コロナウイルスが流行し、アルバータ全ての保育園・プリスクール、幼稚園が4ヵ月ほど休園しました。再開後も州の決まりがとても厳しく、園内では子ども同士距離をおいた一人遊びが基本だったので、この頃からForest Day(もりの日)という1日のほとんどを外で過ごす取り組みを始めました。屋内にいる時よりも生き生きした姿の子どもを見て、野外保育や森のようちえんについて更に学びたいと思い始めました。

森のようちえん inチリワック

再度の引越しでもともと住んでいたBC州に戻ることになり、ちょうど近くに有名な森のようちえんがあったので、早速オーナーの方に連絡をしてみました。そこでなんと様々な園での経験が認められて、すぐに雇ってもらえることになったのです。もし職員を募集していない園でも、興味がある園があればまず連絡してみるのがオススメです。ボランティアで自分のことを知ってもらえれば、空きが出来たときにすぐに声がかかる場合が多いからです。

森のようちえんは2時間半のプログラムと4時間のプログラムがあり、2歳半〜小学6年生を対象にしていました。(小学生はホームスクールの子ども達向け)

雨の日も雪の日も全てを野外で行っていて、火をおこしたり、ナイフを使ったり、タープや紐を使ってシェルターを作ったりと、自然の中で過ごしながら役に立つスキルを学ぶ機会も多かったです。子ども達は常に輝いていて、毎回森にいくのを楽しみにしていました。2時間半では全然時間が足りないくらい、夢中になって毎日遊びました。

現在BC州では住所のないプログラムを認可していないため、ここは課外活動という扱いで無認可で運営していました。

3度目の引越しで再びアルバータ州へ→起業を決める

BC州からまたアルバータ州への引越しが決まり、自分のキャリアについて考えていた頃に思い出したのは、コロナで世界が止まっていたとき、日本の保育士や幼児教育関係の方と関わったことでした。同業者の方とお話する度に自分の仕事へのモチベーションに繋がっていることに気づき、”国を跨いだ保育士や保育園同士の交流ができたら楽しいのに!”という思いから、All for Kidsは生まれました。私のビジネスパートナーで同じくカナダで保育士のちひろさんに声を掛け、共感してもらい、2人で起業することになりました。

日本人としてカナダで幼児教育を学びたくさんの園で積んできた経験を活かして、日本の保育士や幼稚園教諭、教育学部など幼児教育に関わる方々に、カナダの多様性教育・人権教育・歴史教育などを学ぶ機会を提供したいと思っています。

All for Kidsとこれから

現在私は、アルバータ州郊外で教員補助として障害のある子ども達のサポートをしながら、All for Kidsの運営をしています。自身の経験から、学びと人との繋がりに重きをおいた研修を組んでいて、研修には幼児教育の講師を招いたセミナーや先住民の方との交流、複数園の見学と園での子ども達や保育士との交流も計画しています。カナダでの幼児教育の現場を見学するだけではなく、その取り組みの裏にある理由や歴史的背景なども学べる研修になっています。

日本の幼稚園や保育園、教育学部や保育専門学校の方向けに団体研修も行っていて、団体の場合は各団体様に合ったプランを研修の目的に合わせて1から組ませて頂いています。海外研修は少しハードルが高い...という方には海外講師をお呼びしウェビナーも行っていますので、ぜひ一度ご連絡ください。

今はまだ日本とカナダのみですが、いつか世界中の幼児教育に関わる人たちが交流し、お互いに刺激を与え合える機会を作れたら良いなと夢見ています。

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