こんにちは!All for Kidsのはるかです。近年、日本からカナダへ保育士/幼稚園教諭として移住する人が増えているようですね。以前よりも永住権を目指すのは難しくなったとはいえ、慢性的に保育士不足なのは日本でも変わらないため、州は多方面から幼児教育現場で働く人をサポートしています。この記事では私が住むアルバータ州から幼児教育者へのサポートについて書いていきたいと思います。
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カナダの幼児教育
カナダでの教育・福祉は州の管轄ですが、日本のように保育園、幼稚園、こども園と種類により管轄が分かれているわけではなく、州の子ども家庭省(アルバータ州ではChildren and Family Servicesといいます)が0歳から5歳児が通う園の監査や家庭支援を担っています。(カナダの幼児教育が行われている園の種類については以前の記事をお読みください。)
園で働くための資格も州政府によって発行されています。カナダでは0歳~5歳までの子ども達の教育者をまとめてEarly Childhood Educator(幼児教育者)と呼んでおり、認可の園で働くにはその州の発行する幼児教育資格(Certificate)が必要です。
※ちなみに当ブログでも保育士/幼稚園教諭という名前は使わず、園の種類に関わらず5歳以下の子ども達と関わる仕事に就く人を”幼児教育者”という言葉で統一して書いています。
アルバータ州でこの資格はLevel 1、Level 2、Level 3の3段階に分かれていて、それぞれ取得条件や補助金の対象となる範囲が異なります。この記事では、その資格の取得方法、各レベルの特徴、州からの補助金制度について詳しくご紹介します!
アルバータ州の3つの幼児教育資格
カナダの幼児教育資格は、それぞれの州政府が定めた基準に基づいて発行されます。アルバータ州で取得した資格は州や国により書き換えができる場合もあります。
Level 1 Early Childhood Educator
条件:
- アルバータ州が提供するオンラインでも受講可能な「Child Care Orientation Course」(45時間)を修了する。
- または、関連分野の高校・大学の授業を履修している場合、それが認定基準を満たせば代替可能。
資格の特徴:
- 幼児教育施設ではサポート役として働きます
- 直接幼児教育に携わりますが、担任等は持ちません。
取得方法:
- アルバータ州政府公式ウェブサイトにて、オンラインコースの詳細や申請手続きを確認することができます。
Level 2 Early Childhood Educator
条件:
- 州政府が認定する1年制のEarly Learning and Child Care(ELCC)サーティフィケートプログラムを修了すること。
- 他州や国際資格も、アルバータ州の認定手続きにより書き換え可能です。
- 英語またはフランス語以外で教育を受けた方は、英語能力証明(例: IELTS)を提出する必要があります。
資格の特徴:
- 指導的な役割を果たし、スタッフをサポート。
- 子どもたちの発達支援における積極的な役割を担う。
取得方法:
- プログラムは州内のカレッジ(ボウバレー・カレッジやノーザンアルバータ・インスティテュート・オブ・テクノロジー)で履修可能です
Level 3 Early Childhood Educator
条件:
- 州認定の2年制Early Learning and Child Care (ELCC)ディプロマを修了すること。
- 他州や海外で取得した資格や教育も、州政府の認定を受ければ書き換え可能です。
- 英語またはフランス語以外で教育を受けた方は、英語能力証明(例: IELTS)を提出する必要があります。
資格の特徴:
- 施設全体の管理やスタッフの指導。
- 幼児教育分野でディレクターやマネージャーなど、最も高い役職に就ける資格。
取得方法:
- プログラムは州内の学校(マキュアン大学等)で履修可能です。
- 他国で取得した学歴や経験を持つ場合、アルバータ州のChild Care Staff Certification Officeに申請し、修得単位を認めてもらう必要があります。
資格取得後に受けられる補助金
アルバータ州を含むカナダでは、日本と同じく、幼児教育者が慢性的に不足しています。政府はこの人手不足を解消するために、幼児教育者に向けてさまざまな補助金制度を設けています。Level 1,2を持つ人にとってはとくに、より高いレベルを取得する時の金銭面での補助はとても助かります。制度の詳細については州のウェブサイトをお読みください。
給与補助 (Wage Top-Up)
資格を持ち州に認可されている園で働く幼児教育者には、アルバータ政府から給与補助を受けることができます。これは、資格のレベルに応じて以下のように設定されています(2023年の更新以降):
- Level 1: 1時間$2.64
- Level 2: 1時間$5.05
- Level 3: 1時間$8.62
この制度は直接的な保育時間だけでなく、間接業務(ノーコンタクトタイム)や有給休暇にも適用され、園が支払う給与に上乗せして支払われます。
研修補助 (Professional Development Grant)
プロフェッショナル・デベロップメント(専門的な研修や専門能力開発)の一環として、幼児教育者のスキル向上を支援するための制度です。この制度では、以下の費用がカバーされます。
- 大学での授業料と教材費、年間最大$1500
- 研修やワークショップへの参加費、年間最大$500
既存の資格をアップグレードしたい場合や、スキルを向上させたい場合に利用可能。
研修時間補助 (Release Time Grant)
幼児教育者の中には、大学の授業料や研修への助成金が出ていても、それを受講するために仕事を休めない人も多くいます。そういった方も受講できるようにするために、政府は研修やコース受講中の研修時間用に補助金を出しています。
- 大学の単位が取得できるコースには、年度ごとに最大$1,600
- ワークショップや研修には、年間最大$787.5
まとめ
カナダ・アルバータ州では、0歳から5歳までの子ども達と園で関わるために幼児教育資格が必要です。単位取得の種類や数によりLevel1,2,3と分けられていて。Level1を取ればレベルアップのための補助金制度や、園で勤務することによる州からの金銭的なサポートを受けることができます。カナダで幼児教育者として働くには、上記以外にも、語学証明が必要だったりビザの種類によっては補助金制度を使えない場合もあるので、興味のある方は州のウェブサイトで詳細を読んでみてください。また、カナダの幼児教育について質問があればAll for Kidsのウェブサイトよりお問い合わせください。